「“教育”と“夢”は、最も収益化しやすいパッケージだ」
― FJE社内マーケティング会議メモより(2023年11月)
かつて「Future Japan Education(FJE)」が展開した声優育成プロジェクト「声ぷろ」は、SNSを駆使した華やかなプロモーションと、現場経験者によるレッスンを売りに、若者の心をつかんでいた。
しかし2025年春、匿名スタッフから流出した大量の内部資料と、元講師・受講者の告発によって、その内実が“教育”の名を借りた極めて収益偏重なビジネスであったことが明らかになってきた。
■ 「実績」は作られていた──脚色されたサクセスストーリー
流出した**プロジェクトPR設計書(ver.2.6)**にはこう書かれている。
「受講生モデルA・B・Cには、架空もしくは編集済みの“卒業後の軌跡”を設定する。具体的事例の不在は、構成力と演出で補填」
― 声ぷろ広報チーム用マニュアル(2024年2月)
実際、広告で取り上げられていた「大手事務所所属の声優Oさん」の推薦コメントは、数年前に別団体の取材で話された内容の一部を再編集・再録音したものだったという。音声制作を請け負った元編集スタッフの証言:
「“ここだけ切って使っていい?”って普通に指示がきてた。元のインタビューとは文脈もまったく違った」
― 告発者A(音声編集スタッフ・匿名)
■ 【リーク資料】受講ランクは“収益レベル”だった
声ぷろ内部では、受講者を「L1〜L5」の階層で管理。L4以上=月額3万円以上の課金者には専属担当がつき、DMサポートや限定Zoom講義などを提供。しかしその多くは、内容の重複や録画流用が中心だった。
リークされた**「声ぷろ顧客KPI管理表(2024年11月)」**には、実名を伏せた形で以下の記録がある。
ID | ランク | 月課金額 | 担当対応メモ |
---|---|---|---|
1087 | L4 | ¥38,000 | 返信速度良、次回アップセル候補 |
1422 | L3 | ¥19,800 | プラチナ誘導メール送信済 |
2031 | L2 | ¥9,800 | 質問が多いためCSに転送 |
元CS(カスタマーサポート)スタッフの証言:
「“声優としての評価”ではなく、“課金履歴”が評価基準だった。技術があっても低ランクは切り捨て対象」
― 告発者B(元CS)
■ チャットログに残る“演出指示”
流出した社内Slackログには、広報スタッフによる以下のようなやりとりが残っている。
同様の「成果脚色」は常態化していたと複数の関係者が証言しており、成功事例の約4割が“未確定案件”や“仮契約中”の状態で発表されていたことが資料から読み取れる。
■ 経費の私的流用──“視察”と称した旅行
リークされた**「2024年度 声ぷろ出張経費明細」**では、以下のような支出が確認されている。
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2024年8月:ハワイ「視察出張」費(3名)……¥1,280,000
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2024年10月:沖縄「クリエイティブ合宿」(実態は観光+懇親会)……¥920,000
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2025年1月:映画製作補助費(安藤個人短編)……¥680,000
これらはいずれも「教育プログラム発展に寄与する活動」として経費処理されていたが、現地に同行したスタッフはこう語る。
「白田さんは“交流も教育の一環”って言ってましたけど、内容は観光と宴会ばかり。講義は1時間だけZoomでやって、あとは海とBBQ」
― 告発者E(運営スタッフ)
■ FJEの沈黙、白田らの“再始動”
2025年6月、FJEは全SNSと公式サイトを一時閉鎖し、事業の「見直し」を表明。安藤・山田両氏はアカウント削除、白田は「フィルムクラフト」という新団体で活動を再開していると見られる。
一方で、受講生有志による**「返金・被害共有グループ」**では、すでに40名以上が被害届や訴訟準備を開始。弁護士チームによる代理交渉も始まったと報じられている。
■ まとめ:「希望は最大のマーケティング素材だった」
声ぷろ──それは、学びの場ではなく、**“希望を演出して売るための舞台”**だったのかもしれない。
白田清美、安藤大、山田信宏。彼らが作ったのは教育プログラムではなく、“信じた人々の努力”を利用して成り立つ演出型収益モデルだった。